技能実習制度とは

新興国や途上国から実習生を迎え、日本で習得した技能、知識を母国に持ち帰ってもらう「国際貢献」として1993年に始まりました。農漁業や建設、製造業などとともに、2017年11月に「介護」が加わり2021年現在では85職種156作業までとなり2021年11月現在、約35万人以上の技能実習生を受け入れている。2017年11月施行の技能実習適正化法では、同制度により働く外国人への人権侵害に罰則を設けるなど、受け入れ団体や企業への規制を強める一方、優良団体及び企業には実習期間をそれまでの3年から最長5年に延ばせるようになりました。





Ⅰ.技能実習制度の仕組

技能実習制度は入国から帰国まで最大5年実施できます。

OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて技能を移転します。

受入れ方式は、企業が単独でOJTを行う「企業単独型」とOJTを行う企業などの実習実施者を監理団体が監理して行う「団体監理型」の2つのパターンがあります。


今現在、日本に在籍してる外国人技能実習生の総数は40万人超えとなっておりそのうちの97%以上が団体監理型技能実習として受け入れています。(下記図参照 JITCO引用)

図右を見てわかる通り、受入企業の従業員数は10人未満が50%を占めており、中小企業が実習を行っているのが現状であります。

技能実習生制度は技能、知識の移転を目的としている一方、受け入れる企業側としても国際化につながる他、職場や地域の活性化、社員教育の一助になる効果もあります。

出身国別の実習生の割合は、下記のグラフの通りです。

現在ベトナムからの技能実習生がもっとも多くを占めております。


Ⅱ.入国から帰国までの流れ

従事する技能実習の職種等の内容によって異なりますが最大5年実施できます。

受け入れ先企業様の情報を把握するため、綿密に打ち合わせをし、海外の送り出し機関に募集依頼をします。

現地にて(コロナ禍の為、現在はオンライン)集まった候補者の中から面接を行います。その中から合格者を決定し、採用となった実習生は当組合と提携している送り出し機関で入国前講習(2か月~5ヵ月)を行い、日本語や受け入れる企業での業務を想定した講習を行います。

入国手続きとして監理団体がサポートの上、技能実習計画を作成し、技能実習機構→出入国在留管理局へ申請をして在留資格を取得します。

技能実習計画には、技能実習の目的である技能の修得を目標としているため、技能検定試験合格の目標を掲げて実習するよう計画されています。

その後、入国となり入国後1年目は座学による講習が義務付けられており、講習では日本語や、日本での生活で困ったときの対応などを学びしっかり身に付け、1か月後に実習していただく企業へ配属となります。

技能実習は段階的に行われており、1年目を技能実習1号、2年目・3年目を技能実習2号、4年目・5年目を技能実習3号とそれぞれ年数ごとに定められた技能を取得することを目的とされており、次段階へ進む場合、技能検定試験に合格しなければなりません。(下記図参照)

そして段階毎に在留資格も変更になるため、入国時同様申請が必要になりますが、その際は当組合が全面サポート致します。

その後、実習を計画通り順調に進捗し技能実習2号修了(3年間)する場合、そのまま修了し帰国する若しくはさらなる技能習得のため、技能実習3号へ移行することが可能となります。

技能実習3号へ移行を実習生が希望していた場合、受け入れる企業、監理団体共に優良要件に適合する必要があります。(下記でも優良要件について説明しております。)

また、技能実習3号へ移行する場合、技能の移転を図るため、2号修了から1年以内1か月以上母国へ帰国する必要があります。帰国期間は技能実習3号の実習期間には含まれず、残りの2年間を技能の熟達のために専念していただけます。


Ⅲ.技能実習生の受入れ人数枠
   基本人数枠  優良企業適合者
常勤職員数 常勤職員の5% 常勤職員の10%
301人以上 常勤職員の5% 常勤職員の10%
201人以上~300人以下 15人 30人
101人以上~200人以下 10人 20人
51人以上~100人以下 6人 12人
41人以上~50人以下 5人 10人
31人以上~40人以下 4人  8人
30人以下 3人  6人
     

技能実習生を受け入れる際には、人数の制限があります。

実習実施者(受入企業)の常勤者数に応じて、受入人数は変動し、受け入れを続けることによって外国人技能実習機構の審査を行い優良企業の許可が得られると受入人数枠は増加します。

優良枠で受け入れを行う際は、監理団体、実習実施者(受入企業)どちらも優良と認められる必要があります。

また、技能実習3号移行時も上記と同じで優良許可を受ける必要があります。

当組合は優良許可を得ており、人数枠、技能実習3号に関しても受け入れが可能となります。

※2020年4月より、建設業に関しては基本人数枠の場合、常勤職員者数と同人数でしか受入が認められなくなり、2022年4月までに人数が超過している場合は、調整する必要があります。



Ⅳ.入国後講習について

技能実習1号で入国する場合、入国後に約1か月間、集団で座学による講習を実施することが義務付けられています。講習先は当組合が提携してる講習センターで滞在し、講習を行います。

そこでは、日本語や日本での生活に必要な知識、例えば交通安全や消防についてなどは警察署や、消防署から直接講義を受けます。法的保護講習というのもその一環で入管法と労働法についての講義を実施しております。

※講習時間数は1年間技能実習として活動に従事する時間の6分の1以上が講習を行わなければいけない時間数となります。


Ⅴ.技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の選任について

技能実習を開始するにあたり、受け入れ企業様で技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の選任を行っていただく必要があります。各選任者の役割・要件を下記にまとめたいと思います。

 

〇技能実習責任者の役割

技能実習法では技能実習を行う場合、主務省令で定めるところにより技能実習の実施に関する責任者が選任されていなければならないとされています。このため、技能実習実施機関は実習を行わせる事業所ごとに、技能実習責任者を選任しなければなりません。

技能実習責任者が自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関する職務を監督し、技能実習の進捗を管理するほか、次に掲げる事項を統括管理することとされています。

 

 1.技能実習計画の作成

 2.技能実習生が修得等をした技能等の評価

 3.法務大臣及び厚生労働大臣若しくは機構又は監理団体に対する届出、報告、通知その他の手続き

 4.帳簿書類の作成・保管・実施状況報告書の作成

 5.技能実習生の受入れ準備

 6.監理団体との連絡調整

 7.技能実習生の保護

 8.技能実習生の労働条件、産業安全及び労働衛生

 9.国及び地方公共団体の関係機関、機構その他関係機関との連絡調整

 

〇技能実習生帰任者の選任要件

>欠格事由

技能実習責任者には、欠格事由に該当する者(禁固以上の刑に処され、その執行を終えた日から5年を経過していない者など)、過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しい不当行為をした者、未成年者はなることができません。

 

>統括管理するための条件

技能実習責任者は、規則第12条第1項第1号イからリまでに掲げる事項を統括するために、下記の1~3の条件を満たす者でなくてはありません。

 1.実習実施者又はその常勤者の役員若しくは職員である者

 2.自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職務を監督することができる立場にある者

 3.過去3年以内に技能実習責任者に対する講習(第8章の主務大臣が告示した養成講習機関が実施する講習)を修了した者

 

 

 

〇技能実習指導員の役割

偽の実習指導員とは、実習実施機関にて外国人技能実習生に直接指導する人となります。十分に技能・技術を修得できているか、計画通りに進捗しているかといった視点から指導する役割を担います。実習実施者は、技能実習指導員を1人以上選任しなければなりません。

また、技能実習を直接指導することから実習生を監督する立場である為、夜勤等交代制として実習生の勤務時間などにバラつきがある場合は、指導する技能実習指導員も1人では指導できないため、複数人選任することも可能となります。

 

〇技能実習指導員の選任要件

技能実習指導員に選任される人は誰でもいいというわけではなく、以下のように要件が明確に定められています。

 

 1.実習実施者又はその常勤者の役員若しくは職員である者

 2.修得をさせようとする技能等について5年以上の経験を有する者

 これら2つの要件に加えて、以下に挙げる3つのいずれにも該当しないことも要件とされています。

 以下は、欠格事由にあたるものです。

 ・法第10条1号から第7号まで又は第9号のいずれかに該当する者

 ・過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者

 ・未成年

 

 下記で詳しく説明致します。

 

Ⅰ.技能の経験に関する要件

「修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有している者」は、技能実習指導員に求められる技能の経験を示しています。これは、外国人技能実習生が十分な指導を受けられるように設けられた要件です。

5年以上の経験は必ずしも実習実施機関における経験のみに限定されてないため、実習実施機関以外の他機関における経験年数も含めて計算できます。

 

Ⅱ.複数の職種及び作業に係る技能実習を行わせる場合の要件

実習実施機関によっては、外国人技能実習生に複数の職務及び作業に係る技能実習を行わせるケースもあります。こうした方針を取る機関の技能実習指導員は、実施する技能実習に関する全ての職務及び作業について5年以上の経験が必要となる為、注意してください。

ただし、1人の技能実習指導員が全ての経験を網羅することが困難である場合には、職務及び作業ごとに異なる技能実習指導員を配置する対応も認められています。

 

 

〇生活指導員の役割

生活指導員とは、外国人技能実習生の生活を指導する人を指します。

生活指導員は、外国人技能実習生に対して、生活上の留意点に関する指導・生活状況の把握・相談への対応などを実施して、問題の発生を未然に防止する役割を担います。ちなみに、生活指導員は必ずしもすべての生活指導を自身のみで実施しなければならないわけではなく、補助者を付けることも可能です。

 

〇生活指導員の選任要件

生活指導員の選任要件に関しては以下になります。

 1.実習実施者又はその常勤者の役員若しくは職員である者

 これらの要件に加えて、以下に挙げる3つのいずれにも該当しないことも要件とされています。

 以下は、欠格事由にあたるものです。

 ・法第10条1号から第7号まで又は第9号のいずれかに該当する者

 ・過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者

 ・未成年

 


Ⅵ.技能検定試験について

技能検定試験は技能実習を行ってく上で実習生本人にとっても、実習実施者にとってもとても大切な試験となります。1号技能実習から2号技能実習へ移行する場合、技能実習計画の目標として掲げた実技試験と学科試験の両方に合格する必要があり、1年間の実習で技能の習得を試験で判断します。2号から3号へ移行する際も、試験は同様に実施されますが学科は必須ではなくなっています。3号修了前にも試験を受験することは義務付けられています。また次段階へ移行の有無に関わらず、受験は必須となっております。

試験の合格率は実習実施者の今後の受入れにも大きくかかわってきます。受入人数枠人数枠を基本人数枠から優良企業枠とする場合と技能実習2号から技能実習3号へ移行する場合は優良要件に適合する必要があります。

優良要件が適合する加点点数に試験の合格率が大きく影響します。

そのため、当組合は受け入れ企業様が優良要件を取れるよう試験対策など全力でサポート致します。

試験には種類があり、職種によって試験を実施する機関が変わってきます。 

 職業能力開発協会が実施している技能検定試験と各職種の協会が実施している技能実習評価試験に分かれて行われています。(職種に関しては受入可能職種に記載)


Ⅶ.優良な実習実施者としての適合について

技能実習3号へ移行する場合と優良要件枠を使った受入人数を拡大させる場合には優良な企業として認められる必要があります。審査の基準は定められた項目で配点された点数が6割以上となる実習実施者は優良な実習実施者の基準に適合することになります。その内容は技能実習の技能検定試験(技能実習評価試験)のが合格率が大幅に影響する他、失踪など大幅な減点が大きく影響します。

優良要件に関しては毎年10月辺りで制度が変わることが多く、詳しくはお問い合わせください。

また、優良要件に適合した実習実施者だけでは技能実習3号もしくは優良要件枠を使った受入人数枠拡大では受け入れられず監理団体にも優良な監理団体として認められる必要があり、双方が要件を満たさなければ技能実習3号若しくは、優良要件枠を使用しての受け入れ人数枠を拡大させることはできません。当組合はもちろん優良な監理団体として認められており、技能実習3号もしくは優良要件枠を使った受入人数枠拡大での受け入れが可能となります。